②モチベーションアップのきっかけは歯磨き用品

歯科医院の受付付近に歯磨きグッズが置かれているのは見かけませんか？

私がお仕事をさせていただいていた歯科医院も受付に並べてありましたが患者さんが待合室でお待ちになっている間やお帰りの際に自分で選んで買っていくスタイルになりがちでした。今までずっとそうだったので当たり前の光景だったのですが、ふとこれでは少し無責任なことをしているのではないかという気持ちになりました。

患者さんがなぜ自分で選んで買わなければいけないのかよく考えてみますと、【治療】が目的で来院されている患者さんには治療が終了できる時間を目安にアポイントの時間を確保して取っているため、治療を行うことが精一杯でその時に歯ブラシや歯磨き粉のことについてわざわざ時間を取ってお話ができない事が多いです。きっちり時間を取りお話が聞けるのは治療がすべて終わりメインテナンスに移行した際に歯磨き指導として歯科衛生士と対面した時でした。

しかし、そもそも虫歯や歯周病の治療が必要になった原因は歯垢を歯ブラシで取りきれていないことによるものが多いため治療中でも「歯磨き」自体を改善していかなければ再び治療が必要な箇所ができてしまう可能性が高いです。

前回の①でお話で今までのやり方を見直すきっかけになり、患者さんに初診当日か再診の方でもできるだけ早い段階で積極的に歯磨きのコツや歯磨き用品を紹介をするようにしました。すると帰りのお会計の際におすすめした歯磨き用具を手に取り受付の方に渡して購入して帰ってくださることが多いことに気づきます。

どの患者さんがいつ何を購入されたのか把握できるシステムがあったため購入して下さっていた患者さんに使い心地や変化があったことなどお話を聞きつつ、なぜ購入まで踏み切って下さったのか聞いていたところ今までそのようなことを言われたことが無かったため買ってみたというのが一番大きな理由でした。言われたことのない背景には前に通っていた歯医者では歯磨き用品を全く販売していなかった、見たことがなかったという声もありました。購入して下さったのは、新しい知識を知り今までと違うものを使ってもっと良くしていきたいという患者さんの思いによる行動の表れでした。

次回来院時にはみるみるうちにお口の状態が良くなり歯磨きの際に毎回血が出ていたのに出なくなったことなどご本人にもしっかりと違いが実感できる結果となり、モチベーションアップに繋がっていると嬉しいお声を多く頂くこととなりました。

また、歯科医院といっても歯科衛生士の仕事内容というのはそれぞれの医院ごとに全く異なるものでした。従業員の数や方針などに大きく左右されてきますが、私がいくつか勤務をさせていただいた歯科医院で比較してもある歯科医院では歯科助手さんがいなかったため歯科医師の治療のアシスタントに付いてばかりで歯周病やメインテナンスなど患者さんのお口の治療やお話自体ができないような場所もありました。他には患者担当制の歯科医院で勤めたこと、患者担当制ではない歯科医院で勤めたこともありました。患者担当制ではない医院に勤めていた頃はその時に手が空いている歯科衛生士が順次診るというものだったため患者さんが他の衛生士から今までどんな指導を受けていたのか誰に教わったのかよくわからない状態もあり一人の患者さんを見続けるということが難しいものでありました。患者担当制の医院で勤めてみたメリットとしては、患者さん自身がいつも同じ人から治療を受ける安心感や、前回の話が通じることで来院時の不安が軽減されることや医院側も患者さんの少しの口の変化にも気づきやすいものでありました。

患者さんの口の環境がなかなか良い方向に進んでいかないのは医院側の体制にも原因がある所があるのではないかと思いました。個々の歯科医院の体制自体を変えていくのは難しいですが患者さんと歯科医院の間のパイプ役としてなにか自分ができることはないかと思い始めました。